「年を重ねてから、夜中に何度も目が覚める」「朝が早すぎて困る」。そんな悩みを抱えているなら、まず知っておいてほしい結論があります。高齢者の睡眠時間が短くなり、眠りが浅くなるのは、多くの場合「体の異常」ではなく「加齢による自然な変化」です。個人差はありますが、一般的に65歳を過ぎると必要な睡眠時間は6時間前後に落ち着くとされ、深い眠り(ノンレム睡眠の深い段階)は若い頃の半分近くまで減っていくとされています。実際、20代では睡眠全体の2割ほどを占めていた深い眠りが、70代では1割を下回ることも珍しくないと言われます。だからこそ、若い頃と同じ「8時間ぐっすり」を目標にすると、かえって焦りや不眠感につながってしまうのです。年齢に合った眠りの付き合い方に切り替えることが、快眠への第一歩になります。
高齢になると睡眠はどう変わるのか
まず全体像から押さえておきましょう。加齢とともに睡眠は「量」も「質」も「リズム」も変化します。これは病気ではなく、体内時計や脳の働きが年齢とともに変わっていくためです。変化そのものを敵視するのではなく、「そういうものだ」と理解したうえで工夫することが大切です。
正直なところ、この「自然な変化」を知らないまま「昔のように眠れない自分はおかしい」と思い込んでしまう方がとても多い。「眠らなければ」という気負い自体が脳を緊張させ、かえって寝つきを悪くしてしまうこともあります。まずは何が起きているのかを具体的に見ていきます。
眠りが浅くなり、途中で目が覚めやすくなる
年齢を重ねると、深い眠りが減って浅い眠りの割合が増えます。若い頃は物音がしても起きなかったのに、60代70代になると小さな物音やトイレで目が覚める。これを「中途覚醒」と呼びます。加えて、加齢とともに膀胱にためられる尿の量が減るため、夜間にトイレへ起きる回数が増えるのも中途覚醒を招く一因とされています。
実は、一晩に1〜2回目が覚めること自体は、高齢者ではごく一般的です。問題は目が覚めることそのものよりも、「また眠れないのでは」と焦って布団の中で悶々としてしまうこと。時計を何度も確認して「あと3時間しかない」と数えるのも、脳を覚醒させる典型的な悪循環です。目が覚めても再び眠れているなら、過度に心配する必要はありません。
寝つき・起床が前倒しになる(睡眠リズムの変化)
「夕方うとうとして、夜9時には眠くなり、朝4時に目が覚める」。これは体内時計が前倒しになる「睡眠相前進」と呼ばれる変化で、加齢に伴ってよく見られます。決して珍しいことではありません。若い頃に比べ、体内時計が1〜2時間早まる方も少なくないとされます。
早寝早起き自体は悪いことではないのですが、「まだ暗いのに目が覚めてしまう」と困る方が多いのも事実。夕方の強い眠気とセットで起こりやすいので、日中の過ごし方で調整していく余地があります。たとえば夕食後にテレビの前でうとうとしてしまうと、そのまま就寝が早まり、翌朝の早すぎる覚醒につながっていく、といった連鎖が起きがちです。
必要な睡眠時間そのものが短くなる
活動量が減ることもあり、体が必要とする睡眠時間は加齢とともに短くなります。20代で8時間眠っていた人でも、70代では6時間前後で足りることが珍しくありません。
ここで多いのが、「早く布団に入りすぎる」失敗です。夜8時に布団に入って6時間眠れば、夜中の2時に目が覚めるのは当たり前。眠れないのではなく、単に必要な睡眠を早い時間に取り切っているだけ、というケースもよくあります。定年後に生活のメリハリが減り、日中の活動量が落ちることも、必要な睡眠時間が短く感じられる背景の一つです。
年齢に合った眠りの整え方と寝具の選び方
では、具体的にどう付き合えばいいのか。ポイントは「眠りをコントロールしようとしすぎない」ことと、「日中と寝室環境を整える」ことです。ここでは生活習慣・寝室環境・寝具の3つの角度から、今日から実践できる工夫を紹介します。
日中の光と活動でリズムを整える
体内時計を整える最大のスイッチは「朝の光」です。起きたらまずカーテンを開け、15〜30分ほど自然光を浴びる。これだけで夜の眠気のタイミングが安定しやすくなるとされています。屋外の明るさは晴天で1万ルクスを超えることもあり、曇りの日でも屋外の光は室内照明(数百ルクス程度)よりずっと明るいので、朝の散歩は理にかなっています。
日中の適度な運動も大切です。ウォーキングを1日20〜30分程度取り入れると、夜の眠りが深まりやすいと言われます。ただし就寝直前の激しい運動は体温を上げて覚醒を招き逆効果なので、遅くとも就寝の2〜3時間前、夕方までに済ませるのがコツです。膝や腰に不安がある方は、椅子に座ったままの足踏みや軽い体操でも構いません。
昼寝をするなら、午後3時までに20〜30分以内が目安。それ以上長いと深い眠りに入ってしまい、夜の睡眠を圧迫してしまいます。横にならず椅子に座ったまま目を閉じるだけでも十分効果があるとされます。夕方以降のうたた寝は特に要注意です。
寝室の温度・湿度・光を見直す
快眠には寝室の環境が想像以上に効きます。目安として、夏はエアコンで室温26〜28度、冬は16〜19度前後、湿度は年間を通じて50〜60%が快適とされています。高齢の方は暑さ寒さを感じにくくなることがあるので、我慢せず温湿度計で「数字」を確認する習慣をおすすめします。特に冬場、寒いからと暖房を切って就寝し、明け方の冷え込みで目が覚めるケースは多く、タイマーで明け方に運転が入るようにしておくと安心です。夏はエアコンを切って熱中症のリスクを高めるより、弱めにつけたままにするほうが安全とされています。
光も重要です。寝る1時間前からは照明を落とし、暖色系の弱い明かりに切り替える。スマートフォンやテレビの強い光は脳を覚醒させるので控えめに。逆に、夜間トイレに起きるときの安全のため、足元を照らす小さな常夜灯(まぶしすぎない暖色)を用意しておくと転倒防止にもなり安心です。人感センサー付きのフットライトなら、スイッチを探さずに済みます。
体に合った寝具を選び、清潔に保つ
寝具選びで見落とされがちなのが「マットレスや敷き寝具の硬さ」です。柔らかすぎると腰が沈み込み、寝返りが打ちにくくなります。高齢になると寝返りの力自体が弱くなるため、適度な反発力があり、力を入れなくても自然に寝返りできる敷き寝具が向いています。仰向けで寝たときに背骨がゆるやかなS字を保てるかどうかが一つの目安です。逆に硬すぎると肩や腰など出っ張った部分に体圧が集中し、痛みや血行不良の原因になることもあるため、硬ければよいというわけではありません。一晩に20〜30回とされる寝返りは、体圧の分散や体温調整に役立つ大切な動きなので、それを妨げない寝具選びが肝心です。
枕は高すぎると首や肩に負担がかかり、いびきや途中覚醒の原因にもなります。仰向けで首の角度が15度前後、横向きで背骨と首がまっすぐになる高さが理想とされます。合わないと感じたら、タオルを畳んで高さを微調整してみるのも手軽な方法です。まずは1〜2センチ単位で試し、朝起きたときの首や肩の軽さで確かめてみてください。
掛け寝具は「軽くて温かい」ものを。重い掛け布団は寝返りの妨げになり、体力が落ちてきた方には負担です。羽毛など軽量素材だと寝返りが楽になります。寒い時期は厚い布団を1枚重ねるより、薄手の毛布や布団を空気の層をつくるように重ねたほうが、軽さと暖かさを両立しやすくなります。
手入れも快眠と衛生の両面で欠かせません。シーツや枕カバーは週1回を目安に洗濯し、布団は晴れた日に片面1〜2時間ずつ日光やふとん乾燥機で湿気を飛ばす。人は一晩でコップ1杯(約200ミリリットル)ほどの汗をかくとされ、汗や湿気がこもるとダニやカビの温床になり、かゆみやアレルギーで眠りが妨げられることもあります。マットレスも月に1回は上下や表裏を入れ替えると、へたりが偏らず長持ちします。
よくある失敗と、その避け方
一番多い失敗は「眠れないのに布団に居続ける」ことです。15〜20分たっても眠れないなら、一度布団を出て、暗めの部屋で静かに過ごし、眠気が来てから戻る。布団を「眠れない場所」として脳に覚えさせないための工夫です。このとき、スマートフォンを見たり明るい照明をつけたりすると逆効果なので、暖色の弱い明かりで本を数ページめくる程度にとどめましょう。
寝酒も要注意。アルコールは寝つきを良くするように感じても、眠りを浅くして途中覚醒を増やすことが分かっています。利尿作用で夜間にトイレへ起きやすくなるうえ、慣れると量が増えていきやすいのも難点です。眠れないからと晩酌を増やすのは逆効果になりがちです。
カフェインは個人差がありますが、体内に4〜6時間ほど残るとされるため、午後遅い時間のコーヒーや緑茶は控えめにしておくと安心です。就寝前に温かい飲み物が欲しいときは、白湯やカフェインを含まない麦茶、ノンカフェインのお茶などに切り替えるとよいでしょう。
よくある質問
Q1. 高齢者は何時間眠れば十分ですか?
A1. 一般的に65歳以上では6時間前後が目安とされます。若い頃より1〜2時間短くなるのは自然なことで、日中に強い眠気がなければ足りていると考えて大丈夫です。時間の長さより、日中を元気に過ごせているかを目安にしましょう。
Q2. 夜中に何度も目が覚めます。病気でしょうか?
A2. 一晩1〜2回の中途覚醒は高齢者では一般的です。ただし毎晩何度も目覚めて日中に強い眠気や不調が続く場合や、大きないびきと呼吸の止まりを指摘される場合は、睡眠時無呼吸などの可能性もあるため医療機関にご相談ください。
Q3. 昼寝はしても良いですか?
A3. 午後3時までに20〜30分以内なら、むしろ日中の眠気対策に有効とされます。それより長い昼寝や夕方以降のうたた寝は、夜の睡眠を妨げるので避けましょう。横にならず座ったまま目を閉じるだけでも効果があります。
Q4. 寝酒で眠るのは問題ありますか?
A4. おすすめしません。アルコールは寝つきを助けるように感じても、後半の眠りを浅くし途中覚醒を増やします。利尿作用でトイレも近くなり、習慣化すると量も増えやすいため、快眠のためには控えるのが賢明です。
Q5. マットレスや枕はどのくらいで買い替えるべきですか?
A5. マットレスは寝心地の低下や明らかなへたりが目安で、一般に7〜10年程度が交換の目安とされます。枕は素材によりますが、へたって高さが変わったら見直し時。朝に首や肩が痛いなら合っていないサインです。
Q6. 早朝に目が覚めてしまうのを直せますか?
A6. 完全に直すというより、リズムを少し後ろにずらす発想が有効です。夕方に明るい光を浴びる、夜更かししすぎない範囲で就寝を少し遅らせるなどで調整できます。改善しない強い早朝覚醒は、うつなどが背景のこともあるため専門家に相談を。
Q7. 寝室の理想的な温度・湿度は?
A7. 室温は夏26〜28度、冬16〜19度前後、湿度は50〜60%が快適の目安です。高齢の方は体感が鈍りやすいので、温湿度計で数値を確認する習慣が安心につながります。冬は明け方の冷え込み対策に暖房のタイマー活用も有効です。
まとめ
- 高齢者の睡眠が短く浅くなるのは、多くが加齢による自然な変化で、65歳以上は6時間前後が目安。
- 若い頃の「8時間ぐっすり」を目標にすると焦りにつながるため、年齢に合った眠り方へ切り替える。
- 朝の光・日中の運動・短い昼寝でリズムを整え、寝室は室温と湿度(50〜60%)を数字で管理する。
- 寝具は適度な反発で寝返りしやすい敷き寝具、高すぎない枕、軽い掛け布団を選び、清潔に保つ。
- 眠れないまま布団にいない、寝酒を頼らない、午後遅いカフェインを控えるのが失敗を防ぐコツ。
- 日中の強い眠気や連日の不調が続くときは、我慢せず医療機関に相談する。
まずは明日の朝、起きたらカーテンを開けて光を浴びるところから始めてみてください。眠りは「頑張って寝る」ものではなく、日中の小さな習慣が整えてくれるもの。年齢に合った付き合い方を知れば、夜はもっと気楽になります。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
このテーマについては、判断の切り口ごとに考え方が分かれます。 以下では、睡眠を考えるうえで代表的な視点を整理しています。
睡眠の質という考え方寝れない原因の捉え方
睡眠の仕組みと背景理解
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
株式会社エスト
岐阜県岐阜市にて、
寝具・インテリア製品の企画・製造・販売を行っています。
日々の暮らしに寄り添う、心地よい商品づくりを大切にしています。
〒502-0852
岐阜県岐阜市南蝉1-56
設立:平成15年9月26日
【主な取扱商品】
・寝装品(約70%)
・インテリア雑貨(約25%)
・その他(約5%)
【オンラインショップ】
-
エストわみん
https://est-wamin.com -
エストクチュール 楽天市場店
https://www.rakuten.co.jp/estcouture/ -
ミ・エストン Yahoo!ショッピング店
https://store.shopping.yahoo.co.jp/me-eston/ -
ミ・エストン 楽天市場店
https://www.rakuten.co.jp/est-926/
――――――――――――――――――
